2014年12月5日金曜日

2014.12.05 神戸大学国際コミュニケーションセンター第14回外国語教育セミナー<外国語教授法・教授コンテンツを考える>

多数のご来訪ありがとうございました。実施報告についてはこのページの下部をご覧ください。(12月5日)

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関係各位

 第1部の公開型授業ピアレビューでは,例年通り,センター所属教員が自身の外国語教育の様子をDVD画像も含めて紹介します。
 第2部の講演は,講師に京都大学の金丸先生をお招きします。京都大学は,外国人教員による英語授業の大規模導入など,全国の教育改革を先導する取り組みでも知られます。当日は,改革の中心部を担っておられる金丸先生より,日本の大学における英語教育の諸問題と今後の方向についてご教示いただく予定です。
 本セミナーは,1部・2部とも,学外の方も参加いただけます。多数の皆様のご参加をお待ちしています。参加申し込みはこちらからお願いします。

神戸大学国際コミュニケーションセンター第14回外国語教育セミナー<外国語教授法・教授コンテンツを考える>

日時: 2014/12/5(金)0950~1210

会場: 神戸大学鶴甲第1キャンパスD615(CALL教室) ※参考:D棟までの経路案内図(石川研アクセスガイド)

内容

第1部(0950~1040)国際コミュニケーションセンター 教員ピアレビュー
マリアン・ワン特任准教授(英語)
「Teaching in PSA Courses」


「批判思考トレーニングとしての大学英語教育:「英語オーラル」の授業実践」

廣田大地講師(フランス語)
「神戸大学外国語第Ⅱのフランス語Sクラス(インテンシブクラス)の取り組 み:いかにして「楽しく」と「厳しく」を両立させるか」

※神戸大学の英語教育は,文系学部では,一般コースと,グローバル英語コースに分かれており,それぞれリーディング,オーラル,アドバンストなどのクラスが設定されています。ワン准教授はグローバル英語コース内の留学準備課程(PSA)での授業について,石川教授は一般コースの授業について報告します。なお,未修外国語にも,一般課程と,1年後期に開講される特別課程(Sクラス)があります。Sクラスは少人数制,ネイティブ教員と日本人教員の連携授業を特徴とします。廣田講師は特別課程での授業について報告します。


第2部(1040~1210) 講演会
演題:「外国語教育におけるカリキュラム・教授法・コンテンツの再考:京都大学の取り組み」
講師: 金丸敏幸先生(京都大学)
講師略歴:
京都大学総合人間学部卒。同大学院人間・環境学研究科博士後期課程単位取得認定退学(博士(人間・環境学))。同研究科外国語教育論講座助教を経て,現在,京都大学国際高等教育院附属国際学術言語教育センター准教授。近刊論文として「Coh-Metrixとパターン認識を用いた課題英作文の自動評価」「母語を活用した英語指導―高校の英作文授業における「意味順」の効果検証」「アカデミックライティング授業におけるフィードバックの研究-Criterion®を導入した授業実践からの示唆−」「An interdisciplinary data-based academic word list: developing an EAP curriculum」「Laying the Groundwork for Ongoing Learning: A Scaffolded Approach to Language Education in Japanese Elementary Schools and Beyond」ほか多数。FIT2005(情報科学技術フォーラム)論文賞,大学英語教育学会(JACET)賞 実践賞を受賞。

金丸敏幸先生(画像出典:京大教員DB)

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実施報告

 参加者は学内教職員・院生・学外教員(甲子園大,大阪工大,名古屋工大,大手前大学他),あわせて34名にのぼり,盛況でした。

 第1部では,はじめに,マリアンワン准教授が批判思考を育成する授業実践について報告されました。学生間での相談や学生によるプレゼンテーションなど,学生の主体的学びを引き出す工夫が多く見受けられました。石川教授は概念衝突型のトピックを中心に授業をデザインすることで同じく批判思考を高める授業の実践について報告されました。モジュール制,学びの輪,など,多くの授業に適用できる工夫が紹介されました。廣田講師は,毎回の学生のコメントシートの回収とシェア,先輩学生による模擬講演,自作のeラーニング教材を用いた学習トレーニングなどの様々な工夫を通し,学生の学びの実質を上げる授業実践について報告されました

 第2部では,金丸講師より,京都大学の最近の外国語教育改革について詳細なご講演をいただきました。カリキュラム計画,大学英語教育の位置づけ,専門教育との関係等について明確な位置取りが示された後,京都大学の理念に即したEAPカリキュラムの全体像について説明がありました。また,それを実質化する手段としての語彙集・ライティング教材・リスニング教材開発についても触れられました。その後,京都大学の国際戦略の促進のために新設されたユニークな「国際学術言語教育センター」のミッション,取り組みについてもご報告がありました。日本をリードする研究型大学における様々な工夫は学ぶところが多く,活発な質疑応答がありました。

 終了後,参加者にアンケート(提出者16)を実施しました。結果は以下の通りです。

1 第1部は有益でしたか? 有益だった15    ある程度有益だった1
2 第2部は有益でしたか?    有益だった13   ある程度有益だった 3
(自由コメント抜粋)
<第1部関係>
・モジュールの使い方が教員により異なっていて興味深かった
・質問の時間がほしかった
・すべての発表者の資料(評価シート)がほしかった
・モジュール化は参考になりました
・工夫や悩みを共有できる場があることはよい
・大学の授業の様子がよくわかった
<第2部関係>
・EGPの問題の指摘に納得した
・紹介していただいた教材を使ってみたい
・全体像が見えてわかりやすい話だった
・有益な企画だった
・カリキュラムの考え方にヒントをもらった
・他部局の教員にもみてほしい
                                       (報告文責 石川)
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全体風景

ワン准教授報告

石川教授報告

廣田講師報告


金丸先生のご講演